FX-Labo
リスクオン・リスクオフとは?通貨強弱チャートで市場心理を読む方法
リスクオン・リスクオフの意味と仕組みを解説。通貨強弱チャートを使って市場のリスクセンチメントを可視化し、FXトレードに活かす実践的な方法を紹介します。
FXでよく聞く「リスクオン」「リスクオフ」。なんとなく意味は分かるけど、実際のトレードにどう活かせばいいのかが分からない人は多いのではないでしょうか。 実は、リスクセンチメント(市場心理)の変化は通貨強弱チャートにハッキリと現れます。リスクセンチメントを読む力は、あらゆる通貨ペアのトレードに応用が利きます。

リスクオン・リスクオフとは

定義

状態意味投資家の行動
リスクオン投資家がリスクを積極的に取る状態高金利通貨・株・資源国通貨を買う
リスクオフ投資家がリスクを避ける状態安全通貨(円・フラン)・国債・ゴールドを買う

ひと言でまとめると、「世界の投資家がどれくらいリスクを取りたがっているか」 を示す概念です。

身近な例で理解する

天気に例えると分かりやすいでしょう。

  • 晴れの日(リスクオン): 外に出かけたい気分。投資家もリスクのある資産(高金利通貨・株)に積極的にお金を振り向ける
  • 嵐の日(リスクオフ): 家にこもりたい気分。投資家も安全な場所(安全通貨・国債・ゴールド)にお金を逃がす

重要なのは、リスクオン・リスクオフは0か100かの二択ではないということです。晴れと嵐の間にも曇りがあるように、市場のリスクセンチメントにもグラデーションがあります。

リスクオン・リスクオフで通貨はどう動くか

通貨の分類

FXで取引される8つの主要通貨は、リスクセンチメントに対する反応で大きく3つに分類できます。

安全通貨(リスクオフで買われる)

通貨安全通貨とされる理由
JPY(日本円)世界最大の対外純資産国。有事に海外資産を売って円に戻す動き(レパトリエーション)
CHF(スイスフラン)永世中立国。政治的安定、金融セクターへの信頼
USD(米ドル)基軸通貨としての信頼。金融危機時には「ドルの避難所需要」が発生

リスク通貨(リスクオンで買われる)

通貨リスク通貨とされる理由
AUD(豪ドル)資源国通貨。金・鉄鉱石の輸出大国。中国経済の影響を強く受ける
NZD(NZドル)資源国通貨。酪農・農産物の輸出国。高金利通貨としての歴史
CAD(カナダドル)資源国通貨。原油の主要輸出国。米国経済と連動

中間的な通貨

通貨特徴
EUR(ユーロ)状況次第で安全通貨にもリスク通貨にもなる。欧州固有のリスク要因にも左右される
GBP(英ポンド)ボラティリティが高く、リスクセンチメントに敏感だが一方向には偏りにくい

リスクオン時の通貨の動き

リスクオンの環境では、投資家は高いリターンを求めて資金を動かします。

典型的な通貨強弱の並び順:

上(強い)  AUD / NZD / CAD
中間      EUR / GBP / USD
下(弱い)  JPY / CHF
  • 高金利通貨・資源国通貨が買われて上に来る
  • 安全通貨(特に円)が売られて下に沈む
  • 通貨強弱チャートではきれいに扇状に広がるパターンが出やすい

リスクオフ時の通貨の動き

リスクオフの環境では、安全資産への逃避が起きます。

典型的な通貨強弱の並び順:

上(強い)  JPY / CHF
中間      USD / EUR / GBP
下(弱い)  AUD / NZD / CAD
  • リスクオンの時とほぼ真逆の並び順になる
  • 特に円が急上昇し、豪ドルが急落するパターンが多い
  • 通貨強弱チャートではリスクオンとは反対方向に扇状に広がる

リスクオン・リスクオフを引き起こす要因

リスクオンを引き起こすもの

要因具体例
良好な経済指標米国雇用統計が予想を上回る、GDP成長率が好調
金融緩和中央銀行の利下げ、量的緩和の発表
地政学リスクの後退紛争の停戦合意、貿易摩擦の解消
株式市場の上昇米国株の最高値更新、世界的な株高
企業業績の好調主要テック企業の決算が予想を上回る

リスクオフを引き起こすもの

要因具体例
悪い経済指標雇用統計の大幅悪化、景気後退の兆候
金融引き締め懸念予想外の利上げ、タカ派発言
地政学リスク軍事衝突、テロ、政治的不安定
金融市場の混乱株式市場の暴落、信用不安、銀行破綻
パンデミック新型感染症の拡大

過去のリスクオフ事例

イベント通貨への影響
2008リーマンショック急激な円高(USD/JPY: 110→87)、AUD暴落
2011東日本大震災円高(レパトリ期待)、AUD/JPYも急落
2015チャイナショック円高、資源国通貨暴落
2020コロナショック初期はドル高円高、AUD/NZD急落
2022ロシア・ウクライナ紛争CHF高、EUR安、資源価格高騰

通貨強弱チャートでリスクセンチメントを読む

ここからが本題です。通貨強弱チャートはリスクセンチメントを可視化する最も直感的なツールです。

パターン1: 明確なリスクオン

特徴:

  • AUD・NZD・CADが上部に位置
  • JPY・CHFが下部に位置
  • 上下の乖離が大きく、きれいに分かれている

トレード方針:

  • AUD/JPY、NZD/JPYなどのクロス円の買いが有効
  • 安全通貨売り × リスク通貨買いの組み合わせで利益を狙う
  • 通貨強弱の乖離が広がっている間はトレンドフォロー

パターン2: 明確なリスクオフ

特徴:

  • JPY・CHFが上部に位置
  • AUD・NZD・CADが下部に位置
  • 急激に変化することが多い(パニック的な動き)

トレード方針:

  • AUD/JPY、NZD/JPYなどのクロス円の売りが有効
  • リスクオフは突然始まり、動きが激しいためロットは控えめにする
  • ゴールドも同時に急騰していれば、リスクオフの信頼度が高い

パターン3: リスクセンチメント不明確

特徴:

  • 8通貨が中央付近に固まっている
  • 安全通貨とリスク通貨の明確な分離がない
  • 通貨の順位が頻繁に入れ替わる

トレード方針:

  • リスクセンチメントを根拠にしたトレードは見送る
  • 個別の通貨要因(経済指標、金利発表)に注目
  • 明確なパターンが出るまで待つ

パターン4: USDだけが突出(ドル一強/ドル一弱)

特徴:

  • USDだけが最上位または最下位
  • 他の通貨はリスクオン/リスクオフの序列に従っていない

解釈:

  • これはリスクセンチメントの変化ではなく、ドル固有の要因(FOMC、雇用統計など)が原因
  • ドルストレート(EUR/USD、GBP/USDなど)でトレードする方が効率的
  • クロス円でのリスクオン/リスクオフ戦略は使わない

実践:通貨強弱チャートを使ったトレード手順

ステップ1: 今日のリスクセンチメントを確認する

通貨強弱チャートを1日の起点(東京オープンやロンドンオープン)から確認し、現在のリスクセンチメントを判定します。

チェックポイント:

  • JPYとCHFの位置(上部なら→リスクオフ気味)
  • AUD、NZD、CADの位置(上部なら→リスクオン気味)
  • 上下の乖離の大きさ(大きいほど明確なセンチメント)

ステップ2: 他の指標で裏付けを取る

通貨強弱だけでなく、以下もチェックして判断の精度を上げます。

指標リスクオンの兆候リスクオフの兆候
日経平均・S&P500上昇下落
ゴールド(XAU/USD)下落・安定急上昇
VIX(恐怖指数)20以下30以上
米国債利回り上昇急低下(債券に逃避)

ステップ3: 通貨ペアを選ぶ

リスクセンチメントが明確なら、最も強い通貨と最も弱い通貨のペアでトレードします。

センチメントおすすめ通貨ペア方向
リスクオンAUD/JPY、NZD/JPY、CAD/JPY買い
リスクオフAUD/JPY、NZD/JPY、AUD/CHF売り

なぜクロス円が効果的なのか?

リスクオンではAUDが買われ(上昇要因)JPYが売られ(上昇要因)、2つの力が同じ方向に働くため、AUD/JPYはドルストレートよりも大きく動きやすい。リスクオフでは逆にAUDが売られJPYが買われ、下落方向に2つの力が働きます。

ステップ4: エントリーとリスク管理

  1. テクニカル分析でエントリーポイントを決める(押し目買い、戻り売りなど)
  2. 損切りは必ず設定する(リスクセンチメントは突然反転することがある)
  3. 通貨強弱の乖離が縮小し始めたら利確を検討
  4. 重要イベント(FOMC、雇用統計など)の前はポジションを軽くする

よくある誤解と注意点

「円高 = リスクオフ」とは限らない

円高の原因はリスクオフだけではありません。

  • 日銀の利上げ → 金利差縮小による円高(リスクオフではない)
  • 日本の貿易黒字拡大 → 実需の円買い(リスクオフではない)
  • ドル安局面 → ドル売り主導の相対的な円高(リスクオフではない)

通貨強弱チャートでJPYだけでなく他の安全通貨(CHF)やリスク通貨(AUD)の動きも確認し、本当にリスクオフなのかを判断することが重要です。

判別方法:

  • JPYもCHFも上昇、AUD・NZDが下落 → リスクオフの可能性が高い
  • JPYだけ上昇、他は普通 → 円固有の要因(日銀関連など)

リスクオフは長続きしないことが多い

リスクオフ局面はパニック的な動きであり、通常は数日〜数週間で収まります。一方、リスクオンは緩やかに長く続く傾向があります。

  • リスクオフでの売りトレードは短期決戦が基本
  • リスクオンでの買いトレードは比較的長く持てる

米ドルは状況によって立場が変わる

米ドルは、リスクセンチメントに対して一貫した動きをしません。

  • 通常のリスクオフ(地政学リスクなど)→ ドルは中立〜やや買われる
  • 米国発のリスクオフ(米銀行破綻など)→ ドルも売られる
  • 世界的な金融危機(リーマンショック級)→ ドルが急激に買われる(ドルの避難所需要)

このため、リスクオン/リスクオフの分析ではJPYとAUDの動きを最も重視するのがシンプルで有効です。

まとめ

リスクオン・リスクオフは、FX市場の大きな資金の流れを決める根本的な力です。

要点の整理:

  • リスクオンでは高金利・資源国通貨(AUD/NZD/CAD)が買われ、安全通貨(JPY/CHF)が売られる
  • リスクオフではその逆。安全通貨が買われ、リスク通貨が売られる
  • 通貨強弱チャートで安全通貨とリスク通貨の位置関係を見れば、今のセンチメントが一目で分かる
  • AUD/JPYは「リスクセンチメントのバロメーター」として最も分かりやすい通貨ペア
  • 「円高 = リスクオフ」とは限らない。CHFやAUDの動きも合わせて判断する
  • リスクオフは短期、リスクオンは長期の傾向がある

FX-Laboの通貨強弱チャートで、今の市場が「晴れ」なのか「嵐」なのかを確認してみてください。安全通貨とリスク通貨の位置関係を見るだけで、市場の空気が読めるようになります。

関連記事

最近のガイド記事