米国雇用統計とは
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Employment Situation(雇用情勢) |
| 発表元 | 米国労働統計局(BLS) |
| 発表日 | 毎月第1金曜日 |
| 発表時間 | 日本時間 22:30(冬時間)/ 21:30(夏時間) |
| 対象期間 | 前月(12日を含む週が調査基準週) |
注目される3つの数値
| 指標 | 説明 | 注目度 |
|---|---|---|
| 非農業部門雇用者数(NFP) | 農業部門以外の雇用者数の変化 | ★★★ |
| 失業率 | 労働力人口に占める失業者の割合 | ★★☆ |
| 平均時給(前年比) | 賃金の上昇率。インフレ指標として注目 | ★★☆ |
最も注目されるのは**NFP(Non-Farm Payrolls)**で、雇用統計と言えば一般的にこの数値を指します。
なぜ雇用統計がFXに大きく影響するのか
FRBの政策判断に直結する
FRBは金融政策を決める際に「雇用の最大化」と「物価の安定」を2つの柱(デュアルマンデート)としています。雇用統計はこのうち「雇用」を直接示す最も重要なデータです。
雇用が強い → FRBは利上げ/高金利維持しやすい → ドル高雇用が弱い → FRBは利下げしやすい → ドル安
予想との差が相場を動かす
雇用統計で重要なのは**結果そのものではなく、事前予想との差(サプライズ)**です。
| 結果 | 為替への影響 |
|---|---|
| NFPが予想を大幅に上回る | ドル高(利上げ/高金利維持期待) |
| NFPが予想通り | 小幅な動き |
| NFPが予想を大幅に下回る | ドル安(利下げ期待) |
同時に複数の数値が発表される
雇用統計では3つの数値が同時に発表されるため、方向が一致しない場合に相場が混乱します。
例: NFPは予想を上回ったが、失業率が上昇 → 市場の解釈が分かれ、上下に大きく振れる
発表前の準備
事前予想を確認する
FX-Laboの経済指標カレンダーやニュースサイトで市場のコンセンサス予想を確認しておきます。
確認すべき数値:
- NFP予想値(例: +15.0万人)
- 失業率予想値(例: 4.2%)
- 平均時給予想値(例: 前年比+3.5%)
ADP雇用統計を先行指標として見る
雇用統計の2日前(水曜日)に発表されるADP雇用統計は、民間部門の雇用データです。NFPとの相関は完全ではありませんが、大きなサプライズがあった場合はNFPの予想修正が入ることがあります。
ポジションを整理する
- 大きなポジションを持っている場合は一部利確を検討
- 損切り注文が入っていることを確認
- 新規ポジションは発表後まで待つ
発表直後のトレード戦略
発表直後(0〜5分): 手を出さない
基本方針: 見送り
発表直後は以下の理由でトレードを避けます:
- スプレッドが大幅に拡大(通常2〜3pipsのドル円が10pips以上になることも)
- スリッページ(注文価格と約定価格のズレ)が大きい
- ヘッドフェイク(最初に一方向に動いてから急反転)が頻発
発表後5〜30分: 方向性の確認
発表後5分程度で最初の方向性が見えてきます。
確認すること:
- NFP・失業率・平均時給の3つの方向性は一致しているか?
- スプレッドは通常に戻ったか?
- 通貨強弱チャートでドルの方向は明確か?
発表後30分〜1時間: エントリー検討
方向性が明確で、スプレッドが正常に戻ったらエントリーを検討します。
信頼度の高いエントリー条件:
- NFP・失業率・平均時給の方向が一致
- 通貨強弱チャートでドルの動きが一方向
- テクニカル的なサポート/レジスタンスと方向が一致
- 発表後の動きが一方向に安定している
見送るべき状況:
- 3つの数値の方向がバラバラ
- 上下に激しく振れている
- スプレッドがまだ広い
実践テクニック
テクニック1: 初動の逆を狙う(上級者向け)
雇用統計の発表直後に大きく動いた後、翌週月曜日にかけて反転する傾向が観察されることがあります。
これは、発表直後の動きが過剰反応であり、冷静になった市場参加者がポジションを修正するためです。
ただし、これはアノマリー的な傾向であり、毎回そうなるわけではありません。
テクニック2: 前月の修正値にも注目
雇用統計では、前月のNFPが修正されます。この修正値が大きい場合、相場に影響を与えることがあります。
- 前月NFPが大幅に上方修正 → 雇用の底堅さを確認 → ドル高要因
- 前月NFPが大幅に下方修正 → 雇用の悪化を示唆 → ドル安要因
テクニック3: その時の相場テーマを意識する
雇用統計の影響は、その時の相場のテーマによって変わります。
例1: FRBが利上げを検討している時期
- 強い雇用統計 → 利上げ確率上昇 → ドル大幅高
例2: FRBがすでに利上げサイクルを終了した時期
- 強い雇用統計 → 反応が薄い(織り込み済み)
例3: 景気後退が懸念されている時期
- 弱い雇用統計 → リセッション懸念 → リスクオフ → 大幅な円高
よくある失敗パターン
発表前にポジションを持つ(ギャンブル)
「強い数字が出そうだ」と予想して事前にドルを買う → 予想が外れて大損
雇用統計の結果を正確に予想することはプロのエコノミストでも難しいです。事前のポジション取りは純粋なギャンブルです。
発表直後に飛びつく
大きく動いた瞬間に飛びつく → スプレッド拡大で不利な価格で約定 → その後反転して損切り
スプレッドを確認しない
通常時のドル円スプレッドは0.2〜0.3pips程度ですが、発表直後は5〜15pipsに拡大することがあります。このコストを考慮せずにトレードすると、利益が大きく削られます。
3つの数値を総合的に見ない
NFPだけを見て判断し、失業率や平均時給の結果を無視する。3つの数値を総合的に判断することが重要です。
雇用統計以外の重要な雇用関連指標
| 指標 | 発表日 | 説明 |
|---|---|---|
| ADP雇用統計 | 雇用統計の2日前(水曜) | 民間部門の雇用。先行指標として参考 |
| 新規失業保険申請件数 | 毎週木曜 | 週次のリアルタイム雇用データ |
| JOLTS求人件数 | 雇用統計の約1週間前 | 求人数。労働市場の需給バランス |
これらの指標を合わせてチェックすることで、雇用統計の予想精度を高められます。
まとめ
米国雇用統計は、FXトレーダーにとって毎月最大のイベントです。
重要ポイントのおさらい:
- 毎月第1金曜日発表。NFP・失業率・平均時給の3つに注目
- 予想との差(サプライズ)が相場を動かす
- 発表直後の5分間は手を出さない(スプレッド拡大・ヘッドフェイク)
- 30分〜1時間後に方向性を確認してからエントリー
- 3つの数値の方向が一致しているかを確認
- FRBの政策サイクルや相場テーマによって影響度が変わる
- 事前のポジション取りはギャンブル。結果を見てから判断する
FX-Laboの経済指標カレンダーで次回の雇用統計のスケジュールを確認し、発表時は通貨強弱チャートでドルの動きをリアルタイムで観察してみてください。

























